「それより君、これに住所と名前書くように言ったけど………これってどういう事かな?もしかして、バカにしてる?」



「えっ?言われた通り書きましたけど、何かおかしかったですか?」



僕は警官の言っている意味が分からなかった。バカにしているって、どういう事だ?


けれど、警官は僕の返答に対してメチャクチャキレ出した!



「ふざけんなよおいっ!お前の書いた、こんな住所の土地はウチの署の管轄には無いんだよっ!」



「そんな筈は無いでしょう?だってこれは僕の家の住所………」



「だから、そんな住所は存在しないんだよっ!」


何を言っているんだ、この人は………そんなバカな事がある筈無いじゃないか。………いや、待てよ?………



僕は考えた。暫く考えて、漸くこのばかばかしい現実に全て説明のつく、ある可能性にたどり着いた。



昨日、牧村が言っていた【イレギュラー】というやつだ。



おそらく、クマに追いかけられて逃げる途中に崖から転がり落ちた瞬間。



僕は気を失って、イレギュラーを併発し異世界へと飛ばされた。だから、死んでもいないのに、今この場所にいるんだ。



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