【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。



そう言って差し出されたのは透明なビニールに入ったプレゼント用のお菓子。

中は小分け袋のクッキーがいくつか入ってるもの。



「……? わたしのじゃないよ……?」



手作りのラッピングなんて作った覚えない。

戸松くんがわたしに渡しているのに、わたしのものか聞くのも変な気がする。



「名前書いてある」



口数少ない戸松くんが華奢な指で教えてくれたところに、《妃野さんへ》と不器用な感じの字体で書かれていた。


誰かからのプレゼント?



「俺の昇降口のロッカーに入ってた」



その言いかたからすると、これは戸松くんのものではなさそう。

誰かが入れ間違えちゃったのかな……?



「妃野のロッカーが隣だったから。入れ間違えだと思う」



答え合わせのように答えてくれた。

戸松くんのロッカー隣だったんだ……!