「あはは」と苦笑いをするけど、どこか切なく見えた。
別に、夢を見過ぎってわけじゃない。
誰もが憧れることだと思うし、周りもバレンタインのイベントで盛り上がっているから、よく見えるんだろう。
妃野が憧れるなら叶えてやりたい。
そしたら、喜んでくれるだろうか。
「バレンタイン、あげたい人がいないなら、俺がもらうよ」
「えっ……!」
それでも、義理に変わりがないと思うけど。
ーーピロリロリン〜♪
聞き覚えのないメロディーがどこからか鳴り出した。
妃野のスマホか?
「わたしだ……! ごめんね、ちょっと電話に出てもいい?」
「いいよ」
俺に背中を向けてスマホを耳に当てた。
「もしもし。どうしたの? 大河(たいが)」



