妃野の友達がそう声をかけた。
「そうだね。保健室ならタオルあるから、貸してもらおう!」
あー、そっか。
そこならなんでも揃いそう。
「うち、化学の先生に言っとく!」
「ありがとう、莉恋ちゃん。……戸松くん、歩ける?」
「あぁ」
さすがに水が背中にしみて寒すぎるけど、拭かないとどうにもならない。
……行くか、保健室。
「授業に遅れるから、妃野は先に行ってて」
迷惑をかけないように言ったつもりだったが、妃野は大きく首を横に振った。
「わたしも保健室行くよ。途中で倒れたら大変!」
まっすぐな瞳を向けられて、胸が大きく鳴った。
妃野の目力はすごい。
なんか、断るほうが申し訳なくなる。
小声で「ありがと」と伝えると、にこっと笑う妃野が保健室に連れて行ってくれた。



