さくらは結局、かわいいパジャマを購入するのはやめた。
かわいいと思っても、自分に似合うかどうかは別問題だ。
セール品のところにあったオーソドックスなスウェットの上下を購入した。
これならパジャマにもなるし、近所くらいならそのまま出られそうだったからだ。
さくらは購入したスウェットが入っている紙袋を持って、急いで真一が待っているところに向かった。
壁にもたれながら腕を組んで立っている真一は、モデルやアイドル並みに格好良く、当の本人は全く気づいていないが、
とてつもなく目立っていた。
その前を小声でキャーキャー言いながら何度も通り過ぎる女子たちが、春でもないのに色めき立っていた。
『ああ、行きづらい・・・。
あの大注目されている真一の側に行くなんて、まるで拷問か罰ゲームだ。』
と、さくらが躊躇(ちゅうちょ)していると、さくらに気づいた真一の方から、なに食わぬ顔でさくらの目の前にやってきた。
真一は、
「買い物、終わった?」
と、さくらに聞いてきた。
「なに?あの子。」
「もしかして彼女?」
「まさか?!そんなわけないでしょ。」
「釣り合ってなくない?」
「妹?」
「似てなくない?」
「単に知り合いなだけじゃない?」
さまざまな憶測がさくらの耳に聞こえてきた。
『いや、ちょっと待ってよ。明らかに否定的な言葉が聞こえてきてるんですが。私のことですよね。
なんか昔から耳だけは良くて、こういう陰口や悪口、聞こえちゃうんだよね。』
真一はさくらの側まで来ると、もう一度、さくらに、
「買い物、終わった?」
と、聞いてきた。
「う、うん。お待たせしました。」
と、言いながら、購入したスウェットが入っている紙袋を少し持ち上げて、真一に見せた。
さくらは女子たちの厳しい視線がさくらに集中しているのを痛いほど感じた。
「なんだよ、急に丁寧になって。」
「なんでもない。それよりついて来てくれた御礼になんか奢るよ。
フードコートでも行く?」
「いいねえ。」
さくらは、この女子たちからの突き刺さるような痛い視線から、一刻も早く離れたい気持ちもあり、
さくらは真一をフードコートへ誘った。
二人は並んでフードコートのある階へ向かった。
