「ごめん。……ていうか、わたし、そんなんじゃ幻滅しないよ。わたしも親に彼氏ができたこと話してないし」 「まぁそれはなんていうか……プライドだから。吉葉さんの前ではかっこよくいたいっていう」 「充分かっこいいのに」 「……察して?」 「わかってるよ」 夏見くんが珍しい反応を見せるから、不覚にもときめいてしまった。 ごまかすように口に流しこんだコーヒーは、やっぱり苦くて大人の味。 だけど、背筋がピンと張るほどの渋さは感じなくなっていた。