彼氏がヒミツにする理由





学年末テストも卒業式も終わると、修了式までゆとりができる。


わたしは今日から部活の日々。

久しぶりに張りきりすぎちゃって、部活が終わって制服に着がえると一気に疲れが襲ってきた。

部活着という名のドレスを脱いだら魔法が解けたみたいに。


外はもう真っ暗だしお腹もすいているしで、帰るのだるいなーと思いながら廊下を歩いていると。



「春日。どうしたの?」


わたしのクラスの下駄箱の前に春日が立っていた。



「待ってんの」

「あぁ“彼女”ね。いいな」



思わずにんやりしちゃって本心がこぼれ落ちる。



「吉葉も作ればいいじゃん。送ってくれる男」

「わたしにだって、」

「いんの?」

「……いないけど」



口を尖らせながら答えたわたしの内心は複雑だった。


いないわけじゃないけれど、いるとも答えられないし。

いるけど、学校から一緒に帰ることはできないし……。