その日、家に帰ったわたしは卒アルを引っ張りだして。
“このときは接点がなかった2人が、今はつき合ってるんだ”
と感慨深い気持ちになった。
自分のことなのに俯瞰して見ちゃって、過去と現在が繋がっていないようなそんな矛盾を感じた。
『……そうだね。不思議だし、俺にとっては夢みたいかな』
「夢?」
『俺はその頃から吉葉さんのこと見てたから』
耳元で優しく穏やかな声が囁く。
『吉葉さんは明るくていつも笑顔だったから目立ってたよ、俺の中で』
「そ、そうなんだ。なんか恥ずかしいなぁ……」
普段とはちょっと違う電話の声だけでもドキドキするのに、夏見くんの言葉が胸をキュンとさせてくる。
夏見くんとつき合っているのがわたし史上最大の快挙なら、夏見くんに認識されていた中学時代は2番目の快挙かもしれない。
まっすぐな言葉をくれる夏見くん。
やっぱり疑いたくないよ。



