「親が厳しくて彼女がいることがバレたら別れさせられる、とか」
「うん」
「彼女ができたと知って攻撃してくる知りあいがいる、とか」
「攻撃?」
「元カノが嫉妬心に駆られて……的な?」
「……うん」
「まぁ1番ありがちなのは、ほかに本命の彼女がいるとかかな」
「……」
本命の彼女……。
悪い予感として一度は考えた。
他人から改めて言葉にされて、頭をガーンと打ちつけられた気分。
「つーか、その友だちは彼氏から『秘密にしたい』って言われたのに、吉葉に話したの?」
「え、あっ……だれとつき合ってるかは聞いてないよ?」
「ふーん」
春日は興味なさそうな反応を見せながら、どこか怪しんでいそうな目を向けてきた。
危ない危ない。
わたしは当事者だから違和感を持たなかったけれど、第三者の春日にしてみれば、
“なんで彼女は口軽く友だちに話してるの?”
って話なわけで。
今はわたしの言葉に疑いを持っているというより、わたしの話に出てきた友だちに疑いの目を向けているだけだけど、勘だけは鋭い春日。
もしかしたら、わたし自身の話だって気づいてしまうかも。
気をつけよう。



