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「──どうして、つき合ってることを秘密にするんだと思う?」
高校入試が終わってすぐ定期考査1週間前に入ってしまったため、しばらく部活はお休み。なんだけど……。
“今晩、暴風予報が出てるから、昼休みにネット片しといて”
と1年生数人にお達しが来たので、ご飯を食べ終わってすぐテニスコートに向かった。
ネットを片づけながら、わたしは夏見くんのことを春日に相談してみた。
もちろん名前は伏せて、友だちの話というていで。
春日はわたしと同じテニス部の男子部員。
そこまで仲よくはないけれど、男子側の意見をもとめられる知りあいが春日しか思いあたらなかった。
「本人に直接聞けばいいじゃん」
「教えてくれない、って……」
「ならそれなりの理由があるんじゃねーの」
「それなりの理由って?」
聞き返すと、春日は明らかに面倒くさそうな顔をした。
テキトーな性格でのらりくらり生きているから、いちいち首つっこんで考えるのが面倒くさいんだと思う。
でもなんだかんだ甘いところがあるから、押されたら折れてしまう。
だから、わたしはじっと春日の返答を待った。
「……たとえば、」
「うんっ」
やっぱり折れてくれた。



