「ぇ、ぇ、ぇっとぉ……キス、なんていいものじゃないよ。私した事あるけど、ぬめッとしてるし」


ッて、つい混乱しちゃって自分の体験談を暴露しちゃったじゃないのっ。


今は拓斗の卒業祝いの話。


財布とか、時計とか、なんならプラモデルでもかまわないし、そういう欲しい物を教えてほしいのに。


ニコッと拓斗が微笑んだ。


「うん、ぬめッとしてるのは前に聞いたから知ってる。
 さゆねえが初めてキスした日、泣きながら話してくれたよね。
 突然されて気持ち悪くて、彼氏のこと思わず平手打ちしちゃったって」

「ぐッ……」


ふぁぁぁ、そういえば話しました、確かに話しました私。


だってそんな情けない話、拓斗にしか話せなかったから。


拓斗って私の話、どんな話でもちゃんと聞いてくれるんだもの。