ゆっくりと私のおでこから唇を離すと、私の手からコップを受け取った拓斗。


中身をくッと飲み干し、コップを床に置く。


もう片方の腕で、私の肩を抱き寄せたまま。


「さゆき」

「ひぁい!?」


い、いきなり呼び捨てで呼ばないでよッ!


思わず間抜けな返事になっちゃったじゃないの!


拓斗はフッと笑い、「可愛い」と呟くと私の頬にキスをした。


「さゆき」


どうしてそんな風に、愛情の溢れる声で私の名前を呼ぶの?


『さゆねえ、さゆねえ』と言っていた年下の幼なじみが、見知らぬ年上の男性になってしまったように感じる。