拓斗の瞳の奥に、熱が灯っているように見えるのは気のせいだろうか。


お願い、熱っぽい視線を送らないで。


男の色気を漂わせる拓斗なんて、普段とのギャップにどう対応していいのか分からなくなるから。


ゆっくりと、拓斗の顔が近付いてくる。


え? 何? 何?


「この後、ふたりだけで飲みに行こう 」


耳元で囁かれ、くすぐったくて膝をモゾモゾしてしまう。


拓斗のこんなに甘い声、聞いたことない。


「ふたりだけだと、少し席が近くなるかな」


拓斗が少し私の方へ近づいて、腕が触れる。


なぜかドキドキして顔を上げることができなくなってしまった。


俯いて、両手で握ったコップの中のオレンジジュースをひたすら眺める事しかできない。