拓斗は、お隣に住んでいる男の子。


あ、今日で高校卒業だから男の子って年齢じゃないのかな。


でも私の中では、二つ年下の拓斗はいつまでたっても男の子。


お互いひとりっ子だから、姉弟のように育った私たち。


小さな頃の拓斗は今の逞しい姿からは想像できないくらい弱虫で、いつも私が守ってあげていた。


小学二年生までは「さゆねえ、さゆねえ」と言いながら私の後をついてきて。


可愛かったなぁ……。


でも大きくなるにつれて、外で話すことは少なくなった。


拓斗が中一の時は学校内であっても、さゆねえの事なんて知りませんーって感じで。


親離れしていく子どもを見ているようで、ちょっとだけ寂しかったわよ。