炎天下の中
白いワンピースをひらひらと揺らしながら、
ミンミンゼミが騒がしいゆるい坂を駆けおりる女の子が1人。
「みーずきせんせ!」
夏休み中でも7月の終わりまでは図書室が開放していること、
そこには水木先生がいることを
すずめちゃんは知っていました。
冷房の効いた図書室。
カウンター内にいる水木先生の隣にちょこんと座って
ふぅ、と一息。
「今日はどうしたの、すずめさん」
まるですずめちゃんが来ることを
最初からわかっていたかのように、
読んでいた本に目線を落としたまま
水木先生は言いました。
「明日のお祭り、1人で行ってもいい?」
「だめです」
水木先生のあらかじめ用意してあったような答えに
すずめちゃんは頬をぷくっと膨らまし、
両足をぷらぷらさせました。
たとえ町内会の小さなお祭りでも、
低学年は保護者の同伴が必須。
そういうルールなのです。
とはいえ、
夏休みに入ってから毎日のようにこうやってお願いに来るすずめちゃん。
流石に可哀想に感じてきていた水木先生は、
あることを思いつきました。
本を閉じて、人差し指ですずめちゃんの右頬を押し、
ぷすっと、空気を抜きます。
「すずめさん、音読の練習をしませんか」
おんどく〜?と、すずめちゃんは面倒くさそうに眉をひそめます。
「もし上手に読めたら
明日、先生と一緒にお祭りに行くことができますよ」
その言葉で、
すずめちゃんの目はぱっと開いて
口角がきゅっと上がりました。
「やる!」
白いワンピースをひらひらと揺らしながら、
ミンミンゼミが騒がしいゆるい坂を駆けおりる女の子が1人。
「みーずきせんせ!」
夏休み中でも7月の終わりまでは図書室が開放していること、
そこには水木先生がいることを
すずめちゃんは知っていました。
冷房の効いた図書室。
カウンター内にいる水木先生の隣にちょこんと座って
ふぅ、と一息。
「今日はどうしたの、すずめさん」
まるですずめちゃんが来ることを
最初からわかっていたかのように、
読んでいた本に目線を落としたまま
水木先生は言いました。
「明日のお祭り、1人で行ってもいい?」
「だめです」
水木先生のあらかじめ用意してあったような答えに
すずめちゃんは頬をぷくっと膨らまし、
両足をぷらぷらさせました。
たとえ町内会の小さなお祭りでも、
低学年は保護者の同伴が必須。
そういうルールなのです。
とはいえ、
夏休みに入ってから毎日のようにこうやってお願いに来るすずめちゃん。
流石に可哀想に感じてきていた水木先生は、
あることを思いつきました。
本を閉じて、人差し指ですずめちゃんの右頬を押し、
ぷすっと、空気を抜きます。
「すずめさん、音読の練習をしませんか」
おんどく〜?と、すずめちゃんは面倒くさそうに眉をひそめます。
「もし上手に読めたら
明日、先生と一緒にお祭りに行くことができますよ」
その言葉で、
すずめちゃんの目はぱっと開いて
口角がきゅっと上がりました。
「やる!」
