放課後のチャイムが鳴っても、
雨はまだ降り続いていました。
小さな体で黒いランドセルを背負います。
「またあした!」
「一緒に帰ろう!」
クラスメイトたちのそんな声の中に、
すずめちゃんの名前が混ざることはありません。
いつものことです。
そんなこと気にも留めてないすずめちゃん。
水木先生の目を盗み教室を出ると、
彗星の如く校門をくぐり抜けました。
右手に持っている赤い傘は、持っているだけ。
さす気はこれっぽっちもないみたい。
青い紫陽花が咲いた人気のない通学路を
お気に入りの長靴でぴちゃぴちゃ音をたてて歩きます。
大きな水たまりを見つけると、
わざとしぶきを飛ばすようにジャンプして踏みます。
「……なんで傘ささないの?」
振り返ると、水たまり1つ分だけ離れた距離に
青い傘をさした真緒くんが立っていました。
声をかけられるまで後ろをついてきていた真緒くんに気づいていなかったすずめちゃんですが、
これも、いつものこと。
特に驚きはしませんでした。
「気持ちいいんだよ。雨、いいにおいだし。
空が泣いてるみたいでね、仲間な感じがして、」
言い終える前に、すずめちゃんはまた小鳥のようなくしゃみをしました。
真緒くんは迷わず駆けよって
すかさず持っていた傘をすずめちゃんの方へ傾けます。
「傘の下の世界も素敵なんだよ」
ぽん、ぽんぽんぽん、ぽん
傘に落ちる不規則な雨の音。
すずめちゃんは目をきらきらさせて真緒くんを見ます。
「ほんとだ!すてきだ!」
「レインコートのときとは違う音。
僕これ好きなんだ」
「レインコートってなに?」
真緒くんは小さく笑いました。
よくわからなかったけど、つられてすずめちゃんも笑いました。
そのまま、2人でひとつの傘の下。
同じ音を聞きながら、
同じ歩幅でそれぞれのお家へ帰りました。
雨はまだ降り続いていました。
小さな体で黒いランドセルを背負います。
「またあした!」
「一緒に帰ろう!」
クラスメイトたちのそんな声の中に、
すずめちゃんの名前が混ざることはありません。
いつものことです。
そんなこと気にも留めてないすずめちゃん。
水木先生の目を盗み教室を出ると、
彗星の如く校門をくぐり抜けました。
右手に持っている赤い傘は、持っているだけ。
さす気はこれっぽっちもないみたい。
青い紫陽花が咲いた人気のない通学路を
お気に入りの長靴でぴちゃぴちゃ音をたてて歩きます。
大きな水たまりを見つけると、
わざとしぶきを飛ばすようにジャンプして踏みます。
「……なんで傘ささないの?」
振り返ると、水たまり1つ分だけ離れた距離に
青い傘をさした真緒くんが立っていました。
声をかけられるまで後ろをついてきていた真緒くんに気づいていなかったすずめちゃんですが、
これも、いつものこと。
特に驚きはしませんでした。
「気持ちいいんだよ。雨、いいにおいだし。
空が泣いてるみたいでね、仲間な感じがして、」
言い終える前に、すずめちゃんはまた小鳥のようなくしゃみをしました。
真緒くんは迷わず駆けよって
すかさず持っていた傘をすずめちゃんの方へ傾けます。
「傘の下の世界も素敵なんだよ」
ぽん、ぽんぽんぽん、ぽん
傘に落ちる不規則な雨の音。
すずめちゃんは目をきらきらさせて真緒くんを見ます。
「ほんとだ!すてきだ!」
「レインコートのときとは違う音。
僕これ好きなんだ」
「レインコートってなに?」
真緒くんは小さく笑いました。
よくわからなかったけど、つられてすずめちゃんも笑いました。
そのまま、2人でひとつの傘の下。
同じ音を聞きながら、
同じ歩幅でそれぞれのお家へ帰りました。
