給食の時間。



すずめちゃんは給食当番の人が「いただきます」の号令をかけるまで待たなきゃいけないのが、不思議でたまりません。



お腹が空いているんだもの。

準備ができまらすぐ食べればいいのに。

一人でも、いただきますできるのにな。



でも昨日水木先生に「ルールだよ」と叱られたばかりなので、今日は先に食べるのを我慢しています。

すずめちゃんはとってもいい子。



「いただきます」の声がクラスに響いて、教室のあちこちでカチャカチャと音が鳴り出します。



今日のメニューはカレーライス。



でも、すずめちゃんは真っ先にデザートのプリンのフタを開けました。




スプーンで一口すくって満足そうに頬張ると、周囲の数人が目を見合わせて、クスクス笑い出します。



「ねえ、デザートは最後に食べるんだよ?」



前の席の女の子が言うと、すずめちゃんはきょとんとした顔で首をかしげて、もう一度プリンをすくいました。



「どうして?」



「そういうもんでしょ、そういうルールだよ」



「ふーん、誰の?」




その場が一瞬しんとなったけれど、そんなことお構いなしに、もう一度プリンを口に運びます。



すずめちゃんは給食のプリンが大好物。

満足げな笑みを浮かべています。



それを見た女の子は、へんなの、とだけ言いました。


そのあとは、なるべくすずめちゃんの方に目線をやらないようにして、すずめちゃん以外の子とおしゃべりしながらカレーライスを食べました。