貯金してあった3枚の500円玉が入ったポシェットを首からさげたすずめちゃん。
どこかいつもより無敵モード。
「真緒くん、スーパーボールすくいしよ」
ちょうちんの明かりに照らされた水面に流れる
色とりどりのスーパーボール。
すずめちゃんは瞳を輝かせながら
じっと狙いを定めます。
真緒くんも屋台のおじさんに100円を渡してポイと交換し、すずめちゃんのすぐ隣にしゃがみこみました。
「何色狙ってるの?」
「ぜーんぶ!」
えい!っと思い切り水につけたすずめちゃんのポイは、何もすくえないまま破れてしまいました。
「あーあ」と残念そうにポイを返して、
真緒くんに期待のまなざしを向けるすずめちゃん。
真緒くんはそっとポイを水にすべらせますが
勢いよく流れてきたスーパーボールに当たり、
こちらもあっけなく破れてしまいました。
真緒くんの「あっ」というワンテンポ遅れた反応と
破れても微動だにしない表情がなんだかおかしくて
隣ですずめちゃんはくくくっと笑いました。
「はい残念!ほれ!」
屋台のおじさんは、かっかっかと笑いながら
2人に青とピンクのスーパーボールを
ひとつずつ渡してくれました。
