「...私の質問、答えてくれる...?」

「もちろんだ。無視したことあったか?」

「あるもん!一番最初。名前訊いたのに、無視したっ」

「...覚えてねえな」

「ひどい、そういうとこだよっ!」


初めて見る優しく緩んだ頬が嬉しくて、ちょっと切ない。



「───私が泣いてると、気づいたらいつも来てくれてるのはどうして?...魔法でわかるの?」

「...さぁ、なんでだろうな」


イヴァンは私を抱えたまま離さない。


「今日のご飯、魔法で作ったの?」

「あぁ」

「疲れちゃうのに?」

「...今日は特別だ」


「あなたは...どうして泣き虫って言わないの?...子供でもないのにって、泣いてた時...いつも言われてたから」

「俺は普通と比べるのが嫌いなんだ」

「ふーん......じゃあ、自分と戦うのが好きなの?」

「...そういう訳でもないが、どっちかっつうとそうかな」

「じゃあなんで...こんなに筋肉もりもりなの?」

「......」

「...?」

「薬師は肉体労働なんだな、意外と」

「あ...そっか...」