はじめの頃は、心を開くというか、もう少し楽に話してくれるのではないかと思っていたが、今は違う。
イヴァンはもう、そういう次元ではないくらい人間に冷めているのかもしれない。
そんなことまで思い始めている今日此の頃である。
良く言えば穏やかだが、静かな海という感じは当てはまらない。
例えるとなんだろう、纏う空気自体がない、みたいな。
でも絶対に入れはしない、真空の壜に囲まれているような。
そんな空間に無理やり入ってしまったら最後、壊してしまうかもしれない、なくなってしまうのかもしれない、消えてしまうのかもしれない。
心の芯が凍りついているのかもしれないし、あるいは。
凍るとか、溶けるとかじゃなく、
そういうも気持ちを、捨ててしまったのかもしれない。


