「しっかし、本当に家事もできるのか?俺としては二つやって中途半端より、勉強に集中してくれるほうがいいんだがな」

「どっちもできるわよ!逆に、洗濯掃除料理、はいこの3つ!!これなかったら生きてる感じがしないんだもの。私がここにいる限りは、家事は譲らないからね!」

「はは...それぐらいの意思があるなら問題ない。それでいい」


出会ってから、笑ったのを見るのは初めてだった。

普段はあまり動かさない口元が緩み、それだけで纏う空気がいくらか柔らかく変わる。


「ふふふん、ありがとう。ねぇそういえば、ご両親はどこに住んでいるの?」


「......王都にいる」

「あ、そうなんだ、...会わないの?」

「お前が関わることじゃない」

「え?なんで会わな......ごめん、」


さっきは笑ったと思いきや鋭い目を向けられ、ぎくりとする。



大きくなっていた気持ちがみるみるしぼんでいく。


ぼーっと目の前の鼻筋を見つめ、もしかして、とつぶやく。


「もしかして、私を王都に行かせたくなかったのは、このしつこさのせい...」