イヴァンと私は、ひと月後に小さな診療所を開くことにした。

皆が驚くと思う、私自身が今でも実感が湧かないのだから。


私も、いつまでもここにいられると思っていたわけではない。

もう少し国境から離れたところに行かなければ見つかるのは時間の問題だ。


数日悩んで、イヴァンが持ち寄ったこの話に同意した。



たくさん話し合った結果はこんな感じ。

私が症状を診断、イヴァンが薬を作る。
手術みたいな大掛かりなことはせず、...資格がなくてもできる範囲ではそれが精一杯だから。

そして、頂く薬代から少し、私にもお金がもらえる!
最終目的は貯めたお金で引っ越すこと。
次の仕事についてはほとんど未定だけれど...


見通し立て、何が必要か考えた上で、──イヴァンに反対されるのもわかったが──やはり王都に行くことは必須だと考えた。


医学なんて大層な響きだけれど、私は人に治療できるほどの能力は全然、持っていない。

それに的外れなことを言って命に危険が及んだらまずい。


命に関わる感染症などの場合は、別の大きな病院を紹介することにした。