もどかしさをぶつけるように、朝食の皿をガシガシと洗う。

ここ数日で、手はすっかり荒れてしまった。


料理、洗濯、掃除は学校で教わっていたが、あれは戯けだったと今ならもう分かる。

料理は皿洗いまでが料理だし、洗濯物もゴシゴシだけじゃない。畳むまでが仕事だし、掃除は結局掃除道具の手入れが肝心だもん。


あんなので成績が評価されるなんて、どこまでも甘い。

あれで貴族の男に見初められるなど馬鹿らしい、と思う。


あの内容で首席など、嬉しくないし名誉でも何でもない。



脱走してなかったら、そんなことも知らず今ごろも生きていたのか、と恥ずかしくなる、怖くなる。


今は生きてるって...感じがする。


自分で起きて、身の回りのことを全部自分でして、好きにやることが決められて、でも役割もちゃんとある。


生で生きている。

ほんっとうに、すっごく楽しい。