重たい本を数冊抱え、部屋の中央にある机に置く。

きれいに掃除されているが、使われている形跡はない。


魔力で埃が溜まらないとか、そういう仕組みなのだろうか。

後でイヴァンに訊いたら教えてくれるかな。


藍色のサテン張りの椅子に腰かける。

椅子にまで、海の生き物の装飾がある。

彼、こだわり強めなのかなあ、と思いながら、机の引き出しを開ける。


これはちょうどいい、紙と万年筆があった。

辞典を開き、目次を目で追い、“医学” の文字を探した。