恋の魔法なんて必要ない!~厭世家な魔術師と国外逃亡した私の恋模様~


でも、この先何があるか分からないのも事実。

私には、選ぶ選択肢など無いに等しい。


それに、本が読みたい....



「......よろしく、イヴァン」

「契約、成立だ」


ニヤッと笑って立ち上がり、颯爽と部屋を出ていく男を、睨もうとして、やめた。


お世話になるのだ、イライラしててもしょうがない。

上手くやっていかなきゃなのだ。





「ああ、それと」


客間のドアを開きながら、イヴァンが口を開いた。



「これは俺が貰う」




そう言って白い紙に包まれた、ティースプーン一杯分の黒い粉を私と同じように左の袖に隠したのだった。