「小娘、取引だ」
「...え?」
「俺はイヴァン。イヴァン・ハンノルドだ。薬師をしている。...仕事に集中したいんだが、家事が面倒でな。人間は嫌いな上、雇おうと思えば碌な人間が来ない。だが丁度良い、お前には弱みがある。匿ってやる代わりに、ここで働け」
「え...嫌です」
そう言われても、私はここから出なくてはいけない。
危険すぎる、こんな国境に近い場所は。
それをきちんと伝えたはずだが。
聞いていなかったのか。
イラッときて、つい生意気な口を叩いてしまった。
それでもなお目の前の男は余裕そうな笑みで肩にかかった黒髪を払い言った。
「だが行くあてなどないだろう?」
「...う、それは......」


