恋の魔法なんて必要ない!~厭世家な魔術師と国外逃亡した私の恋模様~



母国語ではないおしゃべりに頭をフル回転させた私は、その後の沈黙に耐え切れず軽く咳払いをしながら向かいにちらりと目をやる。

分からない言葉は、───大陸を通しての共通語である───エナノフ語で勘弁してもらった。

だって難しいもの。


話の途中、彼は時折私の水色の目をちらりと見たが、基本的には最初の腕を組んだままの姿勢だった。

今も微動だにせず目を瞑っている。


これだけ話せば、その手にある薬草返してくれるだろう。

そう思ったのに、何を悩んでいるのか。


にわかに彼は口角を上げ、ニヤリとした。


何だかよろしくない予感がしてぎょっとして顔を上げると、彼は口を開いた。


嫌な予感は、


「お前、家事はできるんだな?」



当たりも外れもしなかった。