恋の魔法なんて必要ない!~厭世家な魔術師と国外逃亡した私の恋模様~


政略結婚に、愛が絡むことはない。

それは私も彼も、割り切っていることでした。

でも、我がジェラシヴリ家にいらした時、一目惚れしたのだそう。

これから6年、彼女が寮に入り自由に会えなくなることに焦りを覚え、婚約の結び直しを申し出たようです。


私は良かったんです。

王太子様に振られようが、そこまで深い傷は負いませんでした。



でも女学校で、噂──ましてや王家の婚姻について──など瞬く間に広まります。


今まで仲良くしてくれたお嬢様方は一瞬で遠のき、こそこそと私の噂を囁くようなりました。

でも、そういうものなんです。

身分が高い者についていった方が、より条件の良い結婚ができるのですから、私と仲良くして下さっていた子が離れていくのは当然なの。



すごくすごく悲しかったけれど、想像したよりは悪くなかった。


それより自由になりたかった。


何もかもを失って、意外と平気で、...吹っ切れて脱走を考えるようになりました。

サツキの花が咲いていたから、初夏だったと思います。