私、学校の寮から抜け出してきたんです。

郊外にある、貴族のお嬢様のための花嫁学校。


私、アンナの家元ジェラシヴリ侯爵家は王室と仲が良くて。

私が生まれる前から長女は王家に嫁ぐと決まっていました。



王太子様の許嫁として5年前、そこに入れられたんです。


それまで一人屋敷の図書室に(こも)りっきりだった私を、両親は寮に入るまでなら、と放っておいてくれてた。

入学したら、何もかも縛られ好きに時間を使うこともできないと知っていたからね、きっと。

14歳の時、一日のほとんどを書庫で過ごしていた私を両親は引きずり出して、馬車に乗せました。