顔を拭い拭い、ひたすら歩を進めていると、灯りが見えてきた。
悲しいとお腹の減りはすごく感じるけど足は全然疲れないのだ。
目元の雫に反射して、暗闇に慣れていたせいかとても眩しく感じた。
たどり着いたそこは、町の名前はよく分からなくて。
でも、妖しい場所であろうことは、わかった。
きらびやかな胸の大きく開いたドレスの女。
酔う男、奥が仄暗い店に、絶対近づきたくない呪いらしき露店。
イヴァンの魔法はもっと魅力的で美しいきらきらだよなぁ
ふと間違いなく今思い出すべきじゃない人物を思い浮かべ、ふるふると頭から追い出す。
ああほんとに。
わたしはもうだめかもしれない。


