今日は、奥様に通え、と言われた学校、東雲学園の始業式。編入試験を受けて、仕事の引継ぎをして…と忙しくしていたら、すっかり2年の二学期という微妙な時期になってしまった。そのため、もちろん桜は散ってしまっている。この学園、桜並木が美しいって書いてあったのになぁ。残念だな。「あ!始業式の前に理事長室行くように言われているんだった…!」合格通知と一緒に送られてきたメールには、『迎えをよこします。』と書いてあったけど…どこにいらっしゃるんだろう。「おい。お前か?季節外れの編入生?」俯いてそのことを考えていると少し怒ったような男性の声が聞こえた。パッと顔をあげると、とっても綺麗な水色の髪の男性がいた。「…名乗ることをお許しいただけますでしょうか。」そう奥様に教えられたように初対面の口上を述べると、目の前の男性は少し驚いた様子を見せて、「っ!ああ。」と言って下さった。「ありがとうございます。三神秋奈と申します。あの、理事長様がおっしゃっていた、お迎え、ですか?」「ほー。今回はそういう設定なのか。ったく。あんのクソ理事長…このクソ忙しいときに時にこんな雑用頼みやがって。で?今度は誰狙いですか?皆さん良く飽きないですね。」え?あの、、目の前のこの人はなにを仰っているんだろう…?「え?何のことですか?」狙う、だとか飽きない、だなんて…そんなこと、奥様や旦那様は仰っていなかった。「はぁ?まさか知らないなんて言いませんよね?」「無知をお許しください。何のことか、教えて頂いてもよろしいでしょうか。」私がそう言った瞬間、東雲学園特有の放送チャイムがなり、「天乃氷牙(あまのひょうが)ー!その子は本当の編入生だーさっさと謝罪して理事長室連れてこーい。」「は?!」え、、、?「ちょ、ちょっとあなたがさっき言っていたメールを見せてください!」「え?は、はい。」と私がそのメールの画面を出すと目の前の天乃と呼ばれた方が、ひったくるようにして私のスマホを取り、凝視します。見ているうちにだんだんと顔が真っ青になっていきます。「え?!ど、どうなされましたか?!ど、どこか具合が悪いところでも…?!」そう声を掛けると、
「は?そんなこと有り得るのか…?この超難関高校東雲学園だぞ…しかも編入試験をパスして…?あれは筆記の満点合格と共に実技教科がいくつもあってそれを教師が満足いくまでテストされるんだぞ…?!本当に試験を…いやこの学園が裏口入学なんぞ許すはずは無いし…あぁもう面倒だ!こっちだ!着いてこい!」と早足で行ってしまいました。「あ、ま、待ってください!」