「おかえりなさい」
鍵をかけなかったドアが小さくカチッと言っただけで、玄関まで小走りに。
僅か20分そこらの外出を迎える、麻衣。
凉平は出た時と勿論同じ姿で。
黒い帽子を目深に被り、コンビニの袋を提げている。
露出している口元が、優しく開いた。
「ただいま」
その表情、声、仕草。
全てが倒れてしまいそうな程に嬉しい……けれど。
麻衣の目の前には、どこからどう見ても、誰が見ても。
ただひたすら輝く、若くて素敵な青年……八嶋凉平。
先にリビングに向かうその背中に、問う。
「ねえ、涼ちゃん? マネージャーさんに……」
涼平は返事の前に、ドンッとソファーに腰を下ろして。
「マネージャーは明日の朝も迎えに来るから、その時にでも。……麻衣は? 誰かに言った? 俺を紹介したい人はいるの?」



