チャイムが鳴った。 インターホンには出ない約束だ。 濡れてもいない手をエプロンで拭きながらドアスコープを覗き、確認。 ソワソワとロックを開ける、麻衣。 涼平が、そこに立っている。 雑誌と同じ眩暈がする様な笑顔。 笑顔だ。 「おかえりなさい、涼ちゃん!」 「ただいま」 料理を温め並べる度に、涼平の笑顔。 麻衣の話を聞き、笑顔。 仕事、家族、日常、涼平、死体、どの話でも凉平は……笑顔。 一生こんな幸福な食卓が日常になるのだ、と幸せを信じた潤む瞳で、麻衣も同じく……笑顔。