「はい、綺麗にしたよ?」 手から手へ携帯を……凉平は受け取った。 そんな事にすら脚が震える、ただただ嬉しいという頬を麻衣は隠しもしないで。 ピョンとしゃがんで鍵を拾い上げながら。 「とりあえず、これは中に運ぶしか無いわよね。鍵、借りるよ? 涼ちゃんはシャワーでもどうぞ。疲れてるでしょう?」 得意気に、精一杯の勝負顔を作ったまま、麻衣は鍵を回した。 重厚なドアを、引く。 カチャン、ギ……。 多くの人間が壁一枚隔て潜む廊下にその小さな音は、響いた。