振り下ろす。 ごぎっ。 茶髪の頭頂部にめり込んだ消火器、黒い絨毯に白い雫が飛び散った。 ぐるりと眼球は裏返り、血走った白目を剥いて。 次いで、ストン、と包丁が手から滑り落ちた。 女は崩れた。 愛する人の危機を救ったと誇らし気に、麻衣は振り返る。 「大丈夫? 涼ちゃん?」 涼平は青黒い無表情のまま……麻衣はその視線の先に、携帯と鍵を見付けた。 血が少し付いてしまっている。 イソイソと大きな手提げバッグから花柄のハンカチを出して拭き、涼平に差し出す。