──……エレベーターは、2階で見知らぬ男を下ろす。 疲れきった、そのスーツの背中に手でも振ってやりたい、浮かれた気分を唇で噛み殺した。 麻衣は、扉を閉めるボタンを強く一度、人差し指が反る程に押す。 一人きりになったエレベーター。 抑えきれない、空気が漏れるような声を上げ、笑っては口を塞ぎ、また笑う。 ……昇って行く。 赤く点いている階数の表示は、7。 次に開く時は、涼平の部屋がある階だ。 堪えても堪えても吹き出してしまう麻衣を乗せ、エレベーターは昇って行く。