「あっ。やばい。チャイムなっちゃった。」
「あーあ。」
やっぱり間に合わなかった。遅刻。思っていたけれど…。初日からやってしまった。こうなるなら名札、取りに行かなければよかったな…。
「ごめん!!俺のせいで。俺が近道をしよって言ったせいで。巻き込んじゃったよね。本当にごめん。」
深々と頭を下げられてしまった。
「響くんは、悪くないよ。何もしていない。私だって、忘れ物を取りに行ったからこうなって。私が悪いに決まってるよ!本当は、学園まで20分かかるもん。寮なのに広すぎるから。だから…。謝らないで。」
「そんなことない…けど。俺のこと、下の名前で呼んだよな…。ひびきって。」
確かに、下の名前で呼んでしまった。
「いやだよね。こんな私に呼ばれるって。あと、苗字、忘れちゃったし。」
嘘をついてしまった。恥ずかしすぎるうえに。こんなことでうそをつく人なんていないだろう。
「日高響。ひだかだよ。いやじゃないからいいけど。…初めてだし。」
「これから呼ばれるんじゃない?たぶん。親にもないの?」
ため息をつき、日高君は話始める。
「親からは、ひーくん。こんなこと言いたくない。ハズイから。」
なんか照れてるような。かわいい。
「そっか。」
どうでもよさそうな話をしながら名簿を見る。
「「一緒じゃん!!クラス一緒!!」」
こんなことになるなんて思っていなかった。