春の空は雲の流れが早い。
あったかくなったなー、なんて、空を見上げてぼんやり考えてみる。
『彼女』、
どっかに落ちてねぇかな。
…俺、
何考えてんだ?
眠いのかな?
うん、
きっとそうだ。
早く帰って寝よう。
そう心に決めて、
バイクに手を掛けた。
そのときだった。
「――――危ないッ!!」
通行人の叫び声がして
俺はふと上を見た。
―――真っ白な、
何かが降ってくる。
それはやけにスローモーションに見えて。
走馬灯、ってこんな感じなのかなとか考えてみたり。
あとちょっと、
ってところで、
その白い物体が人間だってことに気付く。
空から、人間?
…はい?
もしかして
天使?
なわけ、ねぇよな。
その瞬間
鈍い衝撃。
頭にひどい痛みを感じた気がする。
…そこで、
俺の意識はなくなった。