いつだって真っ直ぐなあの子がうらましくて、私はいつも臆病だった。




「みんなー!恋!恋しちゃった私!」




中学から仲良くしてくれている依茉ちゃんが教室に戻ってくるなり、大きな声でそう言った。




「は?恋?また新作商品でも出たの?」


「ちがーう!ちゃんと人間ー!隣のクラスの、碧山宙翔くん!」




どきりと心臓が飛び跳ねた。


碧山宙翔くん。隣のクラスのなんでもできる完璧な男の子。


そして…私の片想いの相手。





「ねぇ君新入生?うわー可愛いー」


「教室まで俺らが案内してあげようかー?」




廊下で自分の教室の場所がわからずうろうろしていると、たまたま通りかかった先輩らしき人達に声をかけられる。