ずっと、素直に自分の気持ちを伝えられる人になりたかった。




「会長。お願いしていた各クラスの企画案をまとめたもの、できていますか?」




文化祭まで残り一ヶ月を切った十月下旬。


五月から入った生徒会は、文化祭シーズンが一番大変でやることだらけだ。


そのため、毎日のように生徒会室に遅くまで残り放課後を過ごす生活にはもう慣れてしまった。



会長は二年生、副会長は一年生がやると決まっているらしく、生徒会に入っている一年生は私の他に二人いるが、どちらもやりたがらなかったので仕方なく私が副会長という役割を任せられている。




「んーあーそれね。えっとーどこだっけなー」




生徒会長と言えば真面目な黒髪眼鏡を思い浮かべるだろうが、目の前にいる生徒会長は茶色に染めた髪型をセンターで分けワックスまでつけてしっかりセットをしているチャラ男、齋藤煌良(さいとうあきら)だ。


こんな人が本当に生徒会長でいいのか?と最初は疑問に思っていたが、見た目に反して仕事は速いし、思ったよりも優秀な場面をいくつか見てきて、仕事をちゃんとこなしてくれているので文句は言えない。




「あ、あったあった!みてみて朱音(あかね)ちゃん。俺が昨日徹夜で作ったやつー!偉いでしょ?ほめてほめて」




こういうめんどくさいところがなければ、の話だが。