「麗、もう気持ちを誤魔化さなくていいよ。私たちは友達っていうのは変わらないけど、ライバルだから。私、宙翔くんにバレンタインの日に告白する」




もう一度、真っ直ぐ宙翔くんと向き合って告白をする。


何も私のことを知ってもらえていなかったあの日とは違う。



恋を知らなかったあの頃の私とは違うから。


今の私で、最高の愛を宙翔くんに伝えるんだ。




「…ふぅ」




初めてにしては我ながら綺麗に型取れたハートのチョコレートを四粒、きれいに収めた箱をぎゅっと握りしめ小さくため息を吐く。


宙翔くんはまだ、放課後の誰もいなくなった教室には来ない。



いつだって、真っ直ぐ真っ直ぐ気持ちを伝えることだけしてきた。


今まで恋に無頓着で、それしか方法が思いつかなかったからそうしてきただけ。



駆け引きとか惚れさせるテクニックとかそんなものは知るわけもなく、友達の気持ちにさえ気づかなかった鈍感な私だったけど、宙翔くんに恋をして毎日が楽しくて楽しくて仕方なかった。



私は宙翔くんに恋をして、本当によかった。


その気持ちを今、君に伝えるよ。