麗は私の問いかけに驚いたように目を見開いてから、観念したかのように俯いて小さく頷いた。




「そんな、だっていつから…」




…私はなんてバカだったんだろう。


何も考えずに自分だけ真っ直ぐな気持ちを見せつけて、どれだけ麗を傷つけた?




「…なんで、言ってくれなかったの?」




…違う。言ってくれなかったんじゃなくて、言えなかったんだ。


麗は優しいから、好きな人よりも友達()を優先してくれたんだ。




「…ごめんね。ごめん、気づいてあげられなくて」


「ううん…!私こそ、すぐに言えなくてごめんね」




泣きじゃくる私たちに気づいたクラスメイト達が驚いたようにわらわらと集まってきた。


それをなんとか誤魔化しているとタイミングよく授業終了を告げるチャイムが鳴り響き、麗の手を引いて体育館を出る。