「せっかく作ってくれたんだからさー、ちゃんと俺の顔見て渡してよ。やりなおし」
「ヘ?」
困っていたら、達樹先輩が下駄箱から出したチョコをあたしに突き付けてきた。
目の前のチョコをぽかんとしながら見つめていると、にっと笑った達樹先輩が、あたしの手にチョコを押し込んでくる。
「だから、やりなおし。はい、スタート!」
スタート、って言われても……。
チョコを手に躊躇うあたしのことを、達樹先輩がじっと待っている。
早く決断しないと、誰か他の生徒が登校してきちゃうかも。
昨日の夜に一生懸命ラッピングしたチョコを両手でつかんで深呼吸する。
それから決意を固めると、達樹先輩に向かって真っ直ぐに両腕を突き出した。



