冷や汗をかくあたしの肩の上から、達樹先輩が下駄箱に向かって手を伸ばす。
「それよりさー、これ。お前から?」
そう言って達樹先輩が下駄箱から抜き取ったのは、あたしがついさっきそこに入れたばかりのチョコだった。
ちらっと振り向いたあたしに、ニヤッと笑いかけてくる達樹先輩。
その顔を見る限り、だいぶ初めの方からどこかで行動を監視されていたことは確実で。
「あたしじゃない!」などという言い逃れはできそうもなかった。
「え、っと、その……」
今年のバレンタインのために、あたしはもう何日も前からレシピを調べまくって、材料やラッピングを準備した。
だけど渡すときの計画は「朝早くにこっそり靴箱に入れとく作戦」一択のみで、それ以外の事態は想定してない。



