「おじゃまします」
と、そのリビング(一体何畳あるんだ!)に足を踏み入れた時に言ってしまった。

「え、ああ、はは。どうぞ」

1階なのにこんなに明るいのは日の光が入るように入るように吹き抜けになっている。
そこを螺旋状にシャンデリアか、シャンデリアなのかな、これ。そんな電気が付いている。

「わあ!」
すごい。広いし、素敵!
大きなテーブルがあって、グランドピアノ(学校以外で初めて見た!)がゆったりと置いてある。

私は物珍しげにキョロキョロしてしまって足元に何かが触れてハッとした。

「え! 何!?」
私を見上げて、「ナォオーン」と可愛い顔で鳴いた。

「わぁ! アイコンの子だ! やっぱりすごい美人!」
私がそう言うと、塔ヶ崎くんは嬉しそうに笑った。いや、自慢気にと言うべきか。

「だろ? 今年の春くらいにうちに来たんだ」
ひょいっと抱き上げて、愛おしそうに顔を擦り付けた。

よくよく見たら、他にも猫がいて
「何匹いるの?」
「ああ、今んとこ5匹」
「5!?」
「そ、どんどん増やされて……」
「増やす?」

塔ヶ崎くんは、またにこっと笑うと
「何飲む?」と、キッチンの方へと歩いて行った。
さっきの薄いオレンジ色の美人猫は塔ヶ崎くんの足に体を擦り付けながら、後をついて行った。

「パーシモン、お前のおやつはないぞ?」
塔ヶ崎くんがそう話しかけた。

名前も何だかおしゃれだ。