桜華、聞こえているか?

毎日、手術や急患で息つく暇もないくらい忙しいんだ。

でも、笑顔で退院していく患者を見ると桜華を思い出してしまう。

そういう時は桜華の病室に行ってみるんだ。

でもそこに君はいなくて。

陽が差し込む窓のそばに立って俺の名前を呼んでくれた君の姿がいくら探しても見つけられない。

まるで君と過ごした1年間が幻だったようだ。

でも、右手の薬指にはまったペアリングが確かにそこに君がいた事を証明してくれている。