恐ろしいことを平然と放つエミに、わたしはピキッと固まる。


現実はかなり厳しいことは、さすがにわたしも、十数年間生きてきて感じている。




良いことに、悪いことはつきものだ。

あの大人気の恭平くんと付き合っていて、こんなにのどかな日々を送っていることに、わたしも疑問を隠しきれない部分はある。


だって恭平くん、女癖は……そんなによくなかったといううわさだもん。


そうなると、彼と仲の良かった女の子たちが黙っているはずないし、もっと批判的になることを予想していたのに。

大騒ぎするほどの出来事はなにも起こっていないから、わたしもこれからを不安に思っていたところなのだ。




「エミ〜〜っ、わたし、いつか刺されないかな……」


「刺される前に阿久間が守ってくれるでしょ」


「恭平くんは、そういう人じゃないんだよお……」