低く掠れた声が、甘い雰囲気を作り出す。
慣れているのが伝わってきて、心臓はうるさいくせに、ちょっぴり複雑な気分になる。
わたしはこんなのはじめてで、必死なのに。
恭平くんの一挙一動に心を動かされてばかりなのに。
彼はぜんぜん余裕そう。
ねえ、恭平くんは、わたしにドキドキしてるの……?
「ど、どうしたら、いいのか……わかん、ない」
真っ赤になりながらうつむく。
心臓が爆発しそうなのはきっと、わたしだけだ。
その差がもどかしくて、早く追いつきたくなる。
恭平くんの余裕は、わたしをおかしくさせる。
「わかんねえの?」
かっこよすぎて鼻血が出そう。
場違いなことを考えてしまうけれど、こればかりは仕方ない。
恭平くんは、素直に小さくうなずいたわたしのあごを掴んで、強制的に目を合わさせる。



