「……なんか、ムカつく」
「へ?」
「意味わかんないけど、俺、たぶん怒ってるっぽい」
「え、う、うん……恭平くんたぶん怒ってる……よ?」
自分のことを他人のことのように言うから、こちらが戸惑う。
不思議に思いながら答えると、恭平くんは、やっとわたしの瞳を捉えた。
じりじりと彼が近寄ってくる気配に、反射的にゆっくりと後ずさる。
背の高い恭平くんがわたしの目の前に立つと、見上げるのに首が痛い。
その身長差にドギマギしてるわたしは、きっとすごく幼稚だ。
ハッと気づいたら、彼はすごく近くにいて。
それに驚く間もなく、恭平くんは少し屈んで、わたしと目を合わせた。
「き、恭平くん……っ?」
「ん、なに」
「ち、近くない……?」
「ふつうだけど?」



