あくまくんが愛してやまない。




屋上のフェンスに寄りかかって、あくびを繰り返す彼の肝の座り方には感心する。

もはやここまできたら憤りさえも浮かんでくるけれど、なんとか我慢した。



恭平くんの横顔を眺めていると、抗議したくてもできなくなってしまう。

だって、好きなんだもん。


好きだから、こうやって構ってもらえるの、本当は嬉しいんだもん。




「はい、これあげる」



涙目になっているわたしに、恭平くんはポイっとなにかを投げてきた。


慌てて両手で受け取ると、そこにはパックのいちごみるくとメロンパンがひとつずつあって。

びっくりして彼を見ると、わたしをちらりと見てからなんでもなさそうに答えた。



「昼ごはん買ってる暇なかったと思うから、食べていーよ」